【概要】人間は誰しも多様な人格を内包している。誠実と無慈悲も、残酷と軽快も共存するばかりか、多種多様な悪魔と天使が一人の人間のなかで所構わず成長する。そして現代社会は、増殖した多重人格性を無自覚に量産し改変していくことで発展を続けている。その結果私たちは「個」のバリアで武装し、「...

【あらすじ】腐れ縁の医者から余命宣告を受けた前科者の元プロレスラー山田鋼太郎は、黙々とそれを飲み込んで翌日には何事もなかったかのように工場勤務の生活を送っている。鋼太郎には同僚の近藤と仕事終わりに喫茶店でだらだらと過ごすという日課がある。いつもの如く近藤の夢の話を延々と聞いた後、...

【あらすじ】理不尽且つ虚無な日常を惰性に生きる早川栞は、勤務先の喫茶店の窓からいつも見える「ティッシュ配りの女性」が浮かべる物憂げな表情に深い共感を覚えていた。身勝手な世間話を体系的に行う人々を他所に、ある女性の失踪事件の報が街を駆け抜ける。栞をはじめ喫茶店に集う各々は、類似性を...

【あらすじ】間男に暴行を振るい、警察に連行される竜太。両親が起こしたその一連の事件によって心を閉ざす智。数年後、コンビニの副店長として社会の歯車に順応する智は、初恋の女性ミキと偶然再開する。子どもと手を繋ぐミキの後ろ姿に思いを馳せる最中、竜太が突然智の家にやって来る。規格外な様相...

【概要】人と人との繋がりが希薄になった現代に叩きつける、異様な迫力を持った青春映画『ドブ川番外地』は、当時22歳の新鋭・渡邉安悟監督の長編デビュー作。大阪芸術大学の卒業制作として制作され、度重なる困難を乗り越えて完成された大作だ。本作は、青春の痛みと疾走、そして希望を描いた映画で...